
5月某日、そば屋に集まったのは60年の歳月が流れた男タチと担任だった保育園の先生。酒屋のオヤジは仕事柄、年に二度ほど先生にお会いする機会があり、友人(アルガ)に相談し、ご健在な内に集おうと、同級会を開催する事にしたのです。先生に開催の旨を伝えご快諾戴き、当時の少年少女に通知したところ7名の年をとった少年が手を揚げてくれ、総勢8名で会に臨みました。(会は無事にスタートしましたが、オヤジの思い込みが原因で先生に会の詳細が伝わっておらず、アタフタした事を反省しています😔)地区の役職などで顔を合わせる機会がある少年同士は互いのオジサン化は周知のこと。60年前の姿しか知らない先生は、のっけから怪訝な面持ちで、名を告げる度「ぅえ~!」と店内に響き渡るような驚きの声を挙げられます。目の前にいるオジサンと60年前の少年が繋がらないのは無理からぬ事ですね。先生との初めての乾杯の後、オヤジが戴いてあった先生特製の年代物の「梅酒」を味わい、用意したセピアカラーの当時のスナップ写真を見ながら長い年月を埋めるように話に花が咲きました。
「最後に先生からお話を」と促すと、先生は「いい話と悪い話があるけどどっちにする?」と。オヤジは思わず「両方!」と答え、皆も頷きます。「じゃあ話すね」と、そこから始まった当時の先生の周辺に起きた出来事、その事による先生のご苦悩。そんなご苦労を知る由も無かった年をとった少年達は皆、神妙な面持ちで話に食い入りました。お終いに「保母として一番大事なことは、子どもたちの命を守ること」と真剣に話す先生の言葉がオヤジの胸に刺さりました。会が終わる頃には保育園時代の先生と教え子に戻ったような気分になったのは私だけでは無い筈。先生は一人一人にお土産までご用意され、酔っ払ったオヤジ達をそば屋の駐車場に残し、颯爽とマイカーで帰途に就かれました。
「保育園の同級会なんて事は余り聞いたことが無い」と、周囲の方から驚かれて開催した会でしたが、「先生のお話をまた聞いてみたい」と、再開催を希望する参加者の声を聞き、「やって良かったなあ…来年も計画しようかな…」と思うオヤジです。正枝先生本当にありがとうございました。